インド人参

インド人参とは、アーユルヴェーダにおいて利用されてきた、インドの伝統的なハーブです。 「アシュワガンダ」とも呼ばれ、滋養強壮や強精のため、あるいは若返り薬として用いられてきました。 動物実験では、抗炎症作用・高ストレス作用など、いくつかの効果が示唆されていますが、ヒトでの臨床試験は不十分です。


■期待される効能

滋養強壮・強精。抗炎症作用。抗ストレス作用。


■作用メカニズム

有効成分として、ウィタフェリンAなどのステロイド・ラクトン類、スコポレチンなどのアルカロイド類、サポニン類などが知られています。 基礎研究では、ウィタフェリンAの抗腫瘍作用や抗酸化作用、抗菌作用が示されています。 また、ウィタフェリンAとウィタノリドDは免疫力を高めると考えられます。 その他、スコポレチンなどの効果も検証されてきました。


■科学的根拠

インドでは、アーユルヴェーダにおけるハーブ療法の1つとして、伝統的に用いられており、さまざまな効果があるとされます。 しかし、医学研究としての臨床試験は、まだ十分とはいえません。 基礎研究では、抗腫瘍作用や抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用、免疫賦活作用が示されています。 また、鎮痛作用や鎮静作用、降圧作用も示唆されました。 インド人参の効果を検証した臨床試験は、他の薬用植物との併用による研究が報告されてきました。 具体的には、関節リウマチ変形性関節症に対する効果が示されています。 その他、予備的な臨床試験において、脂質異常症改善作用、 糖尿病改善作用、小児における栄養状態改善作用も報告されました。 サプリメントの場合、抗ストレス作用・強壮作用に基づくアダプトゲンとしての利用が多いです。 インド人参の効果を検証した臨床試験は、他のハーブとの併用によって、プラセボ(偽薬)群と比較した研究が多いです。 まず変形性関節症患者42名に、インド人参などを3ヵ月間投与した研究では、痛みの改善といった効果が示されました。 また、182名の関節リウマチ患者に対して、インド人参を含むアーユルヴェーダのハーブ4種類を16週間投与した研究でも効果が示されています。 さらに、58名の小児に60日間投与した研究では、血中アルブミンとヘモグロビンが増加(栄養改善)したそうです。 インド人参の強精効果に関しては、101名を対象に1年間投与したところ、性機能の改善、血中ヘモグロビンの増加、血中コレステロールの低下、 白髪の減少、炎症反応の改善などが認められたという研究があります。


■使用方法

特に決まった摂取量はありませんが、一般に、根の乾燥粉末で3~6g相当量を使用します。 また、短期間では効果が期待できないので、継続して使用します。


■注意事項

特に問題となる健康被害や副作用は知られていません。 アーユルヴェーダでは、インド人参を大量に摂取した際に、胃腸障害を生じることがあるとされます。 また、妊娠中や授乳中の女性は、念のため利用を控えるようにします。 一般には安全性の高いハーブと考えられ、他のサプリメントや医薬品との相互作用は報告されていません。 ただし、念のため、何らかの医薬品を服用中の場合は、主治医に相談しましょう。