エゾウコギ

エゾウコギは、シベリアから中国の黒竜江省にかけて自生しており、高麗人参などと同じウコギ科のハーブです。 強壮や強精、疲労回復に高麗人参以上の効果があるとされ、スタミナ回復や免疫力アップの目的で利用されるサプリメントです。 運動選手のエルゴジェニクスとして利用されます。


■期待される効能

栄養学的エルゴジェニクス(運動能力増強剤)。免疫賦活作用。滋養強壮作用やスタミナ増強。抗疲労効果。


■作用メカニズム

有効成分としては、エゾウコギに特有な配糖体の他、クマリン誘導体、セサミンなどのリグナン類、ステロール配糖体、テルペン類などがあります。 これらの成分が、さまざまなホルモンの受容体に結合することで効果を発揮すると考えられます。 2003年に愛媛大学のグループから報告された研究では、市販のエゾウコギ抽出物4製品の抗疲労効果が強制遊泳マウスにおいて検討されています。 その結果、エレウテロシド類やイソフラキシジンといった成分が含有された2製品において、有意な抗疲労効果が認められました。 また、ストレスによる血漿中コルチコステロン値の上昇とNK(ナチュラル・キラー)細胞活性低下を抑制する作用が認められています。 さらに、1998年に中国から報告された基礎研究では、エゾウコギとクロレラの2剤を、 骨粗鬆症モデル動物である卵巣摘出ラットに投与したところ、 骨密度が増加するという結果が得られています。


■科学的根拠

エルゴジェニクスとしての評価は、旧ソ連において行われた臨床試験に基づいています。 エゾウコギによって、持久力などが向上したとする研究が報告されています。 例えば、35名の被験者にエゾウコギを30日間投与したところ、最大酸素摂取量が増加したという研究や、 6名の運動選手に8日間投与して持久力が向上したという例があります。 しかし、旧ソ連での臨床試験において認められた効果や効能は、近年の研究からは支持されていません。 エルゴジェニクスとしてのエゾウコギについては、臨床試験のデータがまだ十分とはいえません。 また、免疫力を高める作用に関して、36名の被験者にエゾウコギを4週間投与したところ、 免疫担当細胞であるTリンパ球やNK細胞が増加するというデータが示されています。


■摂取方法

特に決まった摂取量はありません。臨床試験での投与量として、1日あたり300mgや970mgといった例があります。 一般に、短期間では効果が期待できないので、継続して利用します。


■注意事項

エゾウコギを「シベリア人参」としている製品がりますが、適切ではありません。 分類学上、同じウコギ科であっても、エゾウコギは高麗人参(朝鮮人参)などとは属が異なるため、いわゆる「人参」類とは区別されるべきです。 実際、有効成分も大きく異なります。そのため、2002年より米国では、エゾウコギをシベリア人参とは表記しないことになっています。 一般的に、特に問題となる健康被害や副作用は知られていません。ただし、エゾウコギの成分に対して、頭痛や頻脈、不眠などの症状が現れることがあります。 これらの症状がみられたら使用を見合わせます。また、妊娠中や授乳中は、念のために使用を控えます。 なお、エゾウコギと医薬品との相互作用が1例だけ報告されています。 しかし、その症例は、エゾウコギによる健康被害ではなく、むしろ、薬剤濃度の測定法への影響、あるいは製品に混入した不純物による問題と推測されています。