【質問】潰瘍性大腸炎の食事の注意点は?

腹痛、軟便、微熱、だるさなどの症状が1ヵ月ほど続いたので、大腸内視鏡検査を受けたところ、 「潰瘍性大腸炎」と診断されました。 テレビで「腸の病気には乳酸菌飲料やヨーグルトがよい」と聞きましたが、潰瘍性大腸炎の場合はどうでしょうか。 食事や日常生活の注意点を教えてください。また、高校生活は続けられますが?
●17歳・男性


【答】

「潰瘍性大腸炎」とは、 大腸の粘膜に炎症が生じ、びらん(ただれ)や潰瘍ができる病気です。 下痢、腹痛、血便などの腹部症状のほか、疲れやすさ、体重減少など全身にも影響がみられます。 原因についてははっきりとはわかっていませんが、病態が明らかになるにつれてさまざまな薬物療法が開発され、 今では一人一人の患者さんに合った治療ができるようになってきています。 患者さんにとって最も大切なことは、腹部症状が改善し、全身をより良い状態に保つことです。 食事療法のみで腸の炎症を改善できるという明確な証拠はないので、まずは薬による治療を受けることが大切です。
食事については、状態が悪化している「活動期」には控えめにしますが、状態が安定している「寛解期」では厳格な食事制限が推奨されていません。 また、一般的に、消化管を刺激する食品(油の多いもの、牛乳、動物性たんぱく質、スナック菓子や洋菓子、香辛料、人工甘味料など) は控えたほうがよいとされていますが、個人差があり、これらの食品をすべて避ける必要はありません。 大事なことは、自分に合う食品・合わない食品を見つけることです。 乳製品についても同様で、乳製品を摂ると下痢や腹痛が起こる患者さん以外、特に制限はありません。 乳製品に含まれる乳酸菌やビフィズス菌は、 腸内環境を改善し、ガスの発生や腹部膨満感を軽減したり、免疫状態を改善したりすることが期待されています。 どの乳製品が合うのかは一人一人で違うので、いろいろと試してみるとよいでしょう。 ただ、乳製品は脂肪を多く含むので、大腸に炎症が起こって体調が悪いときに摂ると、下痢や腹痛が起こりやすくなることは知っておいてください。
腸の炎症が治まって、全身状態が安定していれば、日常生活についても何ら制限はありません。 学校生活も問題なく続けることができます。

(この答えは、2020年6月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)