【質問】健康診断の脂質代謝がE判定でした
健康診断で総コレステロール値が313mg/dL、LDLコレステロール値が220mg/dL、non-HDLコレステロール値が243mg/dLと高く、脂質代謝がE判定でした。
結果を持って内科を受診したら、医師に「薬は自分の判断で飲むか飲まないか考えるように」と言われました。
できれば薬は飲みたくなと思うのですが、どうすればよいのでしょうか。既往症はありません。
●40歳・女性
●158cm・47kg
【答】
ご質問者のLDLコレステロール(LDL-C)値は220mg/dLで、基準値(140mg/dL未満)を大幅に超えています。
LDL-Cの値が170mg/dL以上で、ほかにLDL-Cが高くなるような病気がない場合は、
「家族性コレステロール血症(FH)」を疑います。
FHかどうかはLDL-Cの値に加えて、家族歴(家族の中に高LDL-C血症や心筋梗塞などを発症した人がいる)や、
身体所見(肘や膝に黄色腫が認められる、アキレス腱が太い)などから診断されます。
また、LDL-Cの値が250mg/dL以上であれば、それだけでFHと診断されます。
FHは遺伝性の病気です。小さいときからLDL-Cの値が高く、そのために動脈硬化が進んで
心筋梗塞や
脳梗塞などを早期に発症する危険性があります。
したがって厳格な治療が必要です。治療ではスタチンの内服が勧められます。
ただし、妊婦がスタチンを服用すると、極めて稀ですが、異常出産の可能性があるので、出産を希望される場合は、医師とよく相談してください。
FHの場合のLDL-Cの治療目標値は100mg/dL未満とされ、糖尿病や喫煙など動脈硬化の危険因子がある場合は、70mg/dL未満にすることが勧められます。
この目標値を達成するのにスタチンの服用だけでは困難なことが多いため、いくつかの薬を併用するのが一般的です。
また、最近では、2週間に1回の注射薬も使用可能となり、ほとんどの患者さんで目標値の達成が可能となっています。
食事では、動物性脂肪の摂取を避け、魚(特に青背の魚)や
大豆製品を摂取するようにします。
トランス脂肪酸(ショートニングなど)も動脈硬化を促進するので、避けるようにしてください。
喫煙は受動喫煙を含めて禁忌です。
運動は、心筋梗塞を誘発する可能性があるので、医師と相談のうえ、適度な有酸素運動を心掛けてください。
(この答えは、2021年4月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)