【答】

一般に、脈拍は規則的で（整脈といいます）、安静の状態で60～100回/分が正常範囲とされています。 統計を取ると、若年者の平均は80回/分、高齢者の平均は60回/分で、加齢とともに脈拍数は減少します。 また、女性は男性よりも5回/分程度多いといわれています。 45歳前後の男性の場合は60～70回/分が正常範囲とされていますが、これも平均値ですので、90～100回/分が必ずしも異常とはいえません。 誰でも運動したときや、気温の上昇、体位の差（座っている場合よりも立っている場合）、 ストレス、感情の高まりなどで脈拍は速くなります。 また、極端な肥満 、 運動不足、睡眠不足のほか、 嗜好品（コーヒー、紅茶、飲酒、喫煙など）や、ある種の健康食品の摂取なども脈拍を増加させる要因になることがあります。 一方、スポーツで体を鍛えている場合は、脈が少なくなる傾向がよくみられます。 そのほか、薬の副作用で脈拍が増えたり少なくなったりすることもあります。 また、病的な原因で脈拍が増減する場合もあります。発熱、脱水、貧血、 甲状腺機能亢進症、交感神経ホルモンの異常などでは、二次的に脈が増加しますし、 心臓自体の病気（心不全、心房細動、発作性上室性頻拍、心室性不整脈） で脈が増えることもあります。同様に脈の減少は、低体温、甲状腺機能低下症、脳圧亢進、黄疸、腎機能障害などで二次的に起こる場合と、 心臓自体の病気（洞機能不全症候群、房室ブロックなど）で起こる場合があります。

さて、ご質問者の場合ですが、年齢的な平均脈拍数からすると、必ずしも異常とはいえませんが、やや多い傾向です。 まずは日常生活を振り返って、脈が多くなる原因（ストレス、嗜好品、運動不足、睡眠不足など）についてチェックし、 問題があれば対策を取りましょう。また、前述した病的な原因について一度は確認が必要です。 二次的に脈拍が多くなる病気が隠れていないかどうかのチェックや、心機能に問題がないかどうかを、 心電図検査や心エコー検査などで調べることが勧められます。 検査の結果、特に異常がなく、また症状もなければ、様子を見るのでよいと思います。

（この答えは、2020年5月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。）