HSP(ヒートショックプロテイン)
『HSP(ヒートショックプロテイン)』は”救急医療センター”のような働きをしてくれます。 構造異常を起こしたたんぱく質を、遺伝子レベルの複雑な生理作用を経て、元の元気で正常な姿に戻してくれるのです。
■HSP(ヒートショックプロテイン)
「HSP」は、「Heat Shock Protein」の略で、熱ストレスによって発生するたんぱく質のことです。
「HSP」は、1962年にアメリカで、加温したショウジョウバエの体内から発見されました。
その後、ヒトをはじめ多くの生物で、通常の体温より約2℃だけ体を温めると、体内にHSPが発生することが明らかになりました。
HSPは、熱以外のストレスでも発生し、「ストレスタンパク」とも呼ばれますが、熱による影響が一番顕著であるといわれています。
私たちが病気に罹ったり、精神的・肉体的ストレスを感じると、細胞の中のいくつかのたんぱく質が変質します。
あるものは凝集し、また他のあるものは萎縮して、構造異常を起こしてしまいます。
そのとき、ドーナツ型をしたHSPは”救急医療センター”のような働きをしてくれます。
構造異常を起こしたたんぱく質をドーナツの内側に取り込み、遺伝子レベルの複雑な生理作用を経て、
元の元気で正常な姿に戻して、ドーナツの外へ返してくれるのです。
また、HSPには「免疫」つまり「生態防御作用」をサポートする働きがあることも、明らかになりました。
私たちの体に病原菌が侵入したり、癌が発症した場合、
これらを殺傷すべく立ち向かうのは「NK(ナチュラルキラー)細胞」と呼ばれる細胞です。
HSPは、この「NK細胞」の活性を高める働きがあるのです。
さらに、「樹状細胞」といって、”ここにこんな病原菌がいる”と免疫系に緊急通報(抗原提示)を発する細胞があります。
HSPは、この樹状細胞の数を増やしたり、その作用を高めたりする能力を備えているのです。
このように、HSPには、免疫力を高める力が備わっています。
また、HSPは老化とともに減少します。これらのことは、HSPが「老化防止」に深くかかわっていることを示唆しているといえます。