【質問】左の肩から上腕が痛みます

特に心当たりはないのですが、左の肩から上腕にかけて、ずっしりとした痛みがあり、1ヵ月以上たっても改善しません。 整形外科で受けたエックス線検査では、異常はありませんでした。 腕は動かせますが、就寝時に痛み、なかなか寝付けず困っています。
●70歳代・男性


【答】

腕を動かすときに痛みを生じるかどうかが不明ですが、ご質問の内容から考えられる病気を以下に示します。 腕を動かすときに、①と②では痛みはほとんど変わらず、③~⑤では痛みが増強するのが特徴です。

①頚椎症性神経根症
潰れた椎間板や骨にできた棘が頸椎の神経根を圧迫することで、上肢に痛みや痺れなどが生じます。 腕ではなく、首を動かしたときに上腕に痛みが生じるのが特徴です。

②頸椎部脊髄疾患(頚椎症性脊髄症、脊髄空洞症、脊髄腫瘍など)
脊髄の障害によって肩から上腕に鈍痛が生じることがあります。 進行すると手の痺れ、麻痺、筋委縮が起こることがあります。

腱板断裂
肩関節にある腱板が加齢によって変性して脆くなると、日常生活の負荷だけで腱板が断裂することがあります。 腕を外側に上げるときに90度前後で痛みを生じることが多く見られます。 また、夜間痛(夜眠れないほどの痛み)がみられることもあります。

④凍結肩(いわゆる四十肩、五十肩)
字のごとく40~50歳代に多く見られますが、70歳以上でも生じることがあります。 加齢で脆くなった関節包に微細な損傷や炎症が起こることが原因とされています。 肩関節の可動範囲が狭まる拘縮期の前の炎症期では、肩関節の動きに制限はなく、夜間痛や安静時痛が中心です。

関節リウマチ
一般には手指などの小さな関節から左右対称に発症することが多いのですが、高齢者では単発性の肩関節炎として生じることもあります。 炎症が軽度のうちは腕の動きに制限はなく、肩から上腕の鈍痛程度のこともあります。

その他にも胸郭出口症候群や、 肺や心臓の病気が原因で肩から上腕の鈍痛を生じることもあります。 診断は腱反射や知覚・運動検査などの身体所見、エックス線検査、超音波検査、MRI検査などの画像所見の他、 必要であれば血液検査所見などを総合して行います。 通院中の整形外科で診断が確定できない場合は、診療情報提供書を書いてもらい、セカンドオピニオンを求められることをお勧めします。

(この答えは、2019年11月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)