【質問】夜、床に就くと体中がかゆくなります

10年ほど前から夜、床に就いて2時間ほどすると体中がかゆくなり、かいてしまいます。 かき傷から出血して布団を汚すこともあります。そのために睡眠不足にもなっています。 皮膚科に何か所か通いましたが改善しません。
●78歳・女性


【答】

かゆみの原因として、まずご質問者の年齢から考えなくてはならないのは、内臓の病気(腎臓病や糖尿病など)がないかどうかです。 これらの病気が軽いながらもあって、それに対する食事療法や薬物治療などが適切に行われていない場合は、 病気になっている期間が長ければ長いほど皮膚のかゆみが出やすくなります。 内科に通院していない場合は、自治体が実施する健康診断などを受けられることをお勧めします。
内臓の病気の有無にかかわらず、かゆみの原因で最も多いのは間違ったスキンケアです。 入浴時刻、湯船につかる時間の長さ、体の洗い方、保湿のタイミング、保湿剤の塗り方などを見直すことが必要です。 ご年配の方は夕方に入浴されることも多いようですが、適切に保湿されていないと寝るころには皮膚がカサカサになってしまうので、 入浴時刻は就寝の1~2時間前が望ましいでしょう。 皮膚が十分な水分を吸収するために、湯船に10分間程度浸かることも大切です。

かゆみが強いのは腕、脚や背中から腰あたりだと思いますが、タオル(特にナイロンタオル)などを使ってゴシゴシと洗っていないでしょうか・ また、液体せっけんは皮膚の脂や表面を保護している角質を落とし過ぎてしまいます。 固形せっけんや泡せっけんを使い、手でやさしく洗いましょう。 石鹸で洗う頻度は、週に1~2回程度でよいと思います。
保湿剤は入浴直後の皮膚にまだ水分が残っている間に、手のひらで優しく伸ばしながらたっぷりと塗ります。 1回に使用する保湿剤の量は少なくとも10g程度は必要なので、処方されたものだとすぐなくなってしまうと思います。 湿疹のない部分は市販の保湿剤も併用されることをお勧めします。 10月から3月の空気の乾燥しやすい時期は昼間にも保湿剤を塗るようにしましょう。
また、夕食時にお酒や辛い物を摂ったり、夕食後にお茶やコーヒーを飲んだりすると、皮膚温度が上がって夜間のかゆみに繋がりやすいので注意が必要です。 まずは3か月間正しいスキンケアに取り組んでみてください。

(この答えは、2024年6月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)